歯周病と言えば、あらゆる全身症状を引き起こすことで有名です。
そのため、口内だけの疾患と考えている方は注意が必要です。
また歯周病と同じくらい厄介な症状に下痢がありますが、意外とこれらには関係性があります。
今回はどのような関係性があるのかについて解説します。
歯周病菌が消火器に及ぼす直接的な影響
冒頭でも触れた通り、歯周病は単なる口の中の病気ではなく、消化器系全体に影響を及ぼすことが明らかになっています。
重度の歯周病患者は、1日あたり1,000億〜1兆個もの歯周病菌を唾液と共に飲み込んでいると推計されています。
通常多くの細菌は胃酸によって死滅しますが、代表的な歯周病菌であるジンジバリス菌などは酸に強く、一部が生存したまま腸に到達します。
腸に達したこれらの菌は、胃炎や胃がんの原因となるピロリ菌と共通する抗原を持っていることがあり、これが胃腸の粘膜に炎症を引き起こす要因となります。
その結果、腹痛や嘔吐、下痢といった消化器症状が誘発されると考えられています。
腸内フローラの乱れと下痢
健康な腸内では多種多様な細菌がバランスを保っていますが、大量の歯周病菌が流入することでこのバランスが崩れるディスバイオシスという状態が引き起こされます。
歯周病菌は腸内の有害な悪玉菌の比率を高め、腸内環境を悪化させます。
さらに、歯周病菌は腸の細胞同士の結びつきを弱め、腸壁のバリア機能を破壊することが報告されています。
バリアが壊れると、腸内での水分吸収が阻害されたり、炎症反応が強まったりして、下痢や便秘などの排便トラブルにつながります。
動物実験でも、歯周病菌を口から投与すると腸内細菌叢が変動し、血中の内毒素レベルが上昇することが確認されています。
全身の炎症と免疫システムへの波及
歯周病による下痢は、単なる消化不良にとどまらず、全身の免疫システムと密接に関係しています。
歯周病によって口腔内で発生した炎症性物質や特定の免疫細胞は、血液やリンパ液を通じて腸管へ移動し、そこでさらに炎症を増幅させることが分かっています。
このメカニズムは“口腔・腸管軸(Oral-Gut Axis)”と呼ばれ、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の悪化因子としても注目されています。
また慢性的な炎症が続くと免疫細胞が常に活動状態となり、身体のエネルギーを消耗して全体の免疫バランスが崩れます。
この状態では感染症にかかりやすくなり、胃腸風邪などの細菌・ウイルスによる下痢も起こしやすくなります。
まとめ
不意に現れたり、慢性的に引き起こされたりする下痢について、まさか歯周病が原因とは思わないでしょう。
しかし歯周病と下痢が関連しているのは事実であり、こちらは歯周病の症状が進行している証拠でもあります。
もちろん、下痢が発生しているということは、他にも歯周病によって全身症状が引き起こされていることが考えられます。




