歯を失った方が最初に考える選択肢の一つに、入れ歯は必ず入るかと思います。
また歯科クリニックで取り扱う入れ歯にはさまざま種類があり、その一つにノンクラスプデンチャーというものがあります。
今回は、ノンクラスプデンチャーの概要とメリット・デメリットについて解説します。
ノンクラスプデンチャーの概要
ノンクラスプデンチャーは、金属製のクラスプと呼ばれるバネを使用しない、歯茎の色に似た柔軟性のある樹脂で固定する入れ歯です。
1950年代に、アメリカの歯科医師たちが歯科用熱可塑性樹脂を開発し、“バルプラスト”いうノンクラスプデンチャーが誕生しました。
当時こちらは海外で製造されていましたが、2008年に日本の厚生労働省で認可され、現在では国内での製造も可能になっています。
またバルプラストの登場以降、日本でも様々な素材や技術が開発され、ノンクラスプデンチャーは普及していきました。
ノンクラスプデンチャーのメリット
ノンクラスプデンチャーは、金属のバネが存在しないため、入れ歯をしていることに気付かれにくいです。
また金属を一切使用しないことから、金属アレルギーのある方でも安心して使用できます。
さらに、弾力性のあるやわらかい樹脂が歯茎にフィットするため、装着感が良く快適な使い心地を実現できます。
固定する歯に過度な負担をかけにくく、残っている天然歯を守ることもできます。
その他、新しく歯が抜けた場合でも、入れ歯をつくり直すことなく必要な部分を追加できるなど、修理や調整が比較的しやすいのもメリットです。
ノンクラスプデンチャーのデメリット
ノンクラスプデンチャーは保険適用外の自由診療であるため、通常の保険診療の入れ歯よりも費用が高くなります。
また弾力性がある一方で、金属のように強い力に耐えることは難しく、割れるリスクがあります。
特に、奥歯や広範囲にわたる欠損を補う場合には、強度が不足することが考えられます。
さらにノンクラスプデンチャーで使用する樹脂の種類によっては、表面にキズが付きやすく、汚れやニオイが付着しやすい場合もあります。
ちなみに歯の本数が少ない場合や歯がない範囲が広い場合など、症例によってはノンクラスプデンチャーを適用できないこともあります。
まとめ
入れ歯の機能性だけでなく、審美性も重視したいという方は、ぜひノンクラスプデンチャーの作成を検討してください。
また快適なつけ心地を実現したい方、修理の負担を軽減したい方にとっても、ノンクラスプデンチャーは適しています。
しかし費用を抑えたい方や、あまりにも抜けている歯の本数が多い方などは、別の治療法を検討した方が良いかもしれません。