虫歯を患っている方は、必ず歯科クリニックで処置を受ける必要があります。
初期段階の虫歯であれば、適切なブラッシングなどで完治する可能性がありますが、中程度以降の虫歯は削らなければ治ることはありません。
今回は、虫歯を放置することで見られる残根について解説します。
虫歯の残根とは?
虫歯の残根とは、虫歯が進行して歯の大部分が崩壊し、歯根だけが残った状態をいいます。
虫歯が神経にまで達すると、歯の上部が溶けて崩れ落ちてしまい、最終的に残根の状態になります。
また根管治療を行った歯は、神経を失うことで以前よりも脆くなり、強い力が加わることで折れてしまうことがあります。
このときも、残根だけが残ります。
ちなみに、抜歯の際に歯根の先端が骨の中や歯茎の中に残ってしまうことで、残根が見られることもあります。
虫歯の残根を放置するリスク
虫歯の残根を放置していると、露出した歯根から細菌が入り込み、歯茎や顎の骨に炎症を起こす可能性があります。
また細菌が繁殖し、隣接する健康な歯や歯茎にも感染が広がります。
さらに感染した歯周組織から口臭が発生したり、歯がなくなった部分を補うため、周囲の歯が倒れ込んできて噛み合わせが悪くなったりすることも考えられます。
ちなみに、歯周病菌が血流に乗って全身に広がると、糖尿病や心臓病などのリスクを高めることにもつながります。
これらのリスクがあることから、重度の虫歯によって残根が見られる状態になっても、治療は受けなければいけません。
歯冠部を失ってしまったからといって、虫歯が治ったというわけではありません。
虫歯の残根の治療法
虫歯の残根の主な治療法としては、抜歯だけでなく歯を残す治療法が採用されることもあります。
残根が大きく崩壊している、または感染が重度の場合、抜歯が基本になります。
抜歯後は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどにより、失った歯をカバーします。
歯を失った部分の機能性を重視する方は、このときインプラントを選択することが多いです。
また歯根の状態が良ければ、残っている歯根を活かすこともできます。
例えば根管治療を受けたり、神経の一部を残して行う歯髄保存療法などを受けたりすれば、抜歯は必要ありません。
まとめ
残根は虫歯が進行しきったときに見られるものであり、すでに一般的な虫歯治療では対応できない状態になっています。
そのため、治療法があるとはいえ、患者さんは虫歯が重度に進行するまでに治療を受けなければいけません。
可能であれば、まだ歯に穴が開いていない初期虫歯の段階で治療を受けるべきです。
ちなみに、初期虫歯は歯科クリニックで定期検診を受けなければ、なかなか早期発見ができません。