完治とは、疾患の症状が完全に消え、元の健康な状態に戻ることを意味する言葉です。
この概念に当てはめたとき、歯周病は完治しない疾患であると言えます。
つまり、症状が完全に消えたり、歯茎などの組織が元の状態に戻ったりすることはないということです。
今回はこちらの理由について解説します。
破壊された組織の再生は困難
歯周病が完治しない疾患である理由としては、一度破壊された組織の再生は困難であることが挙げられます。
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨や歯茎が溶けてしまいます。
これらの組織は、自然には再生することがありません。
また歯科クリニックで歯周病治療を受けたことにより、炎症を抑えられても、失われた部分が完全に回復することはありません。
あくまで症状の進行を止めたにすぎず、破壊された組織は外科治療などを行ってようやく以前の機能を取り戻せる可能性があります。
原因菌の継続的な存在
歯周病が完治しない疾患である理由としては、原因菌の継続的な存在も挙げられます。
例えばインフルエンザなどウイルス性の疾患の場合、投薬などでそのウイルスを死滅させることで、症状がなくなって完治することがあります。
一方、歯周病は口内に常に存在する歯周病菌によって引き起こされます。
こちらは数を減らすことはできても、口内から排除することはできません。
そのため、歯科クリニックで治療を受けたとしても、日々のブラッシングがおろそかだったり、生活習慣が乱れたりすると、細菌が増殖して再発するリスクが常にあります。
このようにいつでも再発するため、「完治したからもう何もしなくて良い」という状況が存在しません。
初期の歯周病であれば完治する可能性がある
初期段階の歯周病は、歯茎が赤く腫れて炎症を起こす程度の症状しか現れません。
そのため、すぐに歯科クリニックで治療を受ければ、完治する可能性があります。
この段階で炎症がなくなれば、歯周病を発症する前と同じ歯茎の状態に戻るからです。
一方、重度の歯周病はすでに口内組織が破壊されているため、早急に歯科クリニックで治療しても完治することがありません。
まとめ
歯周病は皆さんが思っている以上におそろしい疾患です。
一度発症すると完治させるのは難しい上に、全身疾患を引き起こす可能性も高いです。
また歯周病は虫歯と比べて自覚症状が少ないため、気付いたら完治は難しい状況にまで進行していることもあります。
そのため、いかにブラッシングなどのセルフケアを徹底できるか、定期的に歯科クリニックの検診に通えるかが予防のポイントになります。