虫歯治療では、穴が開いていない初期段階の虫歯を除いて、ほとんどのケースで歯を削る処置を行います。
また歯を削るときには、基本的に局所麻酔を施しますが、この処置の後患者さんの体調に異変が起こることがあります。
今回は、虫歯治療時の麻酔で気分が悪くなる主な原因について解説します。
歯科治療に対する緊張や恐怖心
歯科クリニックや虫歯治療が非常に苦手な方は、治療前に極度の緊張や恐怖心におそわれることがあります。
このような状態だと、交感神経が優位になり、局所麻酔のわずかな刺激によって迷走神経反射が起こります。
迷走神経反射は、脳の血流が低下し、めまいや血の気が引くような感覚を引き起こすものです。
そのため、当然気分は悪くなります。
歯科クリニックではできる限り麻酔の負担を減らす工夫がされていますが、虫歯治療が苦手な方はなるべく深呼吸を行い、リラックスすることを心掛けましょう。
アレルギー
歯科クリニックで使用される局所麻酔にアレルギー反応を示すことで、気分が悪くなることも考えられます。
こちらはアナフィラキシーショックというもので、アレルギー反応の中でも重篤であり、場合によっては呼吸困難や死に至る危険な症状です。
歯科クリニックの麻酔は改良を重ねているため、アナフィラキシーショックが起こる確率は極めて低いです。
年間何十万人という患者さんが訪れる歯科大学病院でも、年に一度起こるか起こらないかというレベルです。
それでも発生してからでは遅いため、過去に麻酔が原因で軽度のアレルギーが出たことがある方などは、必ず歯科医師に報告しておきましょう。
血管収縮剤の作用
歯科クリニックで使用される麻酔薬の中には、薬剤の効能をアップさせるためにエピネフリンという成分が含まれているものがあります。
エピネフリンは血管を収縮させる効果のある成分ですが、こちらの作用によって血圧や心拍が上昇し、気分が悪くなることが考えられます。
ただし、エピネフリンの作用が長時間継続するケースは決して多くありません。
虫歯治療を中断し、楽な姿勢で気分が落ち着くまで待てば、基本的にはすぐに回復します。
まとめ
安全に虫歯治療を進めるにあたって、局所麻酔は欠かせません。
しかし、薬剤を使用している以上、100%トラブルを起こすことなく治療を終えられるとは限らないことを理解しておきましょう。
また治療中に気分が悪くなった場合、我慢してはいけません。
たとえ虫歯治療の時間が延びようとも、異変を感じたらすぐ歯科医師に伝え、症状が落ち着くまでの時間を設けてもらいましょう。